今回のテーマは、
オールセラミック治療になります。
歯周病で問題がある方の口腔内には
多くの被せ物が装着されていることが多いです。
ご自身の口腔内を見て下さい。
なにも治療後がない方は少ないのではないでしょうか?
まったく口腔内に治療跡がない方は、
このブログをみていない可能性が高いです。
基本的に治療箇所が多い方は、
なにかしらのリスクを抱えている可能性があります。
虫歯のリスクが高いとか…
歯周病のリスクが高いとか…
また、その被せ物をみると金属製の被せ物が多いかと思います。
これは日本の保険診療では、
ほとんどの被せ物が金属製とされているからです。
この金属製の被せ物って見た目が悪いですよね。
日本人の場合、
大きく笑うと 「金属がキラット」見えることがあります。
一般的に海外の方でこうした金属が見えることは少ないです。
日本人特有の口腔内と言えます。
これは、先にも説明しましたように
日本の保険診療では、どうしても金属製の被せ物が治療のメインになってしまっているからです。
日本の保険診療は、世界的にみても非常にすぐれた制度であり、
多くの方が世界的にみれば、非常に安価で歯科治療を受けることができます。
例えば国民皆保険がない米国では、
虫歯治療は非常に高額になります。
日本の保険診療と違い、
治療費が決まっているわけではないので
州 や 歯科医院により治療費は大きく違いますが、
虫歯で被せ物をすると 10万円程かかります。
もし、虫歯が大きく神経を取る治療が必要であれば
さらに部位によっても違いますが、
さらに10万円程度加算されます。
日本で同じ治療を保険診療で行なうと
3割負担の方で数千円です。
あまりにも大きな違いです。
これは米国が高いのではなく、
世界的にみて日本の医療費が非常に安いのです。
こうしたこともあり、
日本の歯科医療では、使用できる材料等に大きな制限があります。
世界的に日本の歯科医療(健康保険医療)は、そうとう遅れているのが現状です。
その一つがオールセラミック治療と言えます。
オールセラミックは、世界的にはごく普通の治療となっています。
以下のデータは、米国での歯科治療における
被せ物の種類の内訳です。
メタルセラミックとは、長年使用されてきたセラミックのことで、
見た目(表面的)には、白いセラミックに見えますが、
内部には、金属製が使用されている被せ物です。
通常セラミックと言えば、このタイプです。
メタルボンドクラウン や 陶材焼付鋳造冠 と言います。
金属製のフレームにセラミックを焼き付けて作製されています。
日本でも長い間 このメタルボンドクラウンが主流でした。
(現在も多く使用されていますが…)
なぜこのような方法で作製されていたかと言いますと
セラミックのみでは強度を保つことができないため、
内部に金属製のフレームを作ることで、
セラミック自体の強度を高めるためです。
本日お話するセラミックは、
オールセラミックと言います。
金属をまったく使用しないで作製された被せ物です。
メタルボンド(陶材焼付鋳造冠)と
オールセラミックの違いは以下の写真でみて下さい。
左がオールセラミックで
右側がメタルボンド(陶材焼付鋳造冠)です。
さて
途中の話が長くなりましたが、
以下が米国での被せ物の種類のデータです。
全ての種類が掲載されているわけではありませんが、
主要な被せ物3種類を比較しています。
一つが メタルセラミック:メタルボンド(陶材焼付鋳造冠)
二つ目が オールセラミック
三つ目が 金属製(全部鋳造冠)
です。
2007年までは
約65%がメタルセラミック(陶材焼付鋳造冠)
約24%がオールセラミック
約8%が金属製
となっていました。
金属製って8%以下なんですね。
日本では奥歯ではほとんどが金属製ですがね。
(健康保険診療以外の治療は除く)
さて米国では、これが2013年になると…
オールセラミックが約80%となっています。
つまり米国ではほとどの場合、
金属を一切使用しないオールセラミックが主流ということになります。
もちろんこれは2013年のデータですから
2016年ではもっと変わっている可能性が高いです。
もちろんオールセラミックの比率が80%以上になっているということです。
そででは本日の本題になります。
歯周病患者様において
今までは金属製の被せ物を装着する方が多かったのですが、
現在は、オールセラミックを使用することが非常に多くなりました。
こうした材料の変化は、見た目だけのことではありません。
歯周病患者さんにとってオールセラミックは非常に多くの利点があるからです。
オールセラミック(特にジルコニア)は、汚れの付着が非常に少ないのです。
汚れが付きにくいということは、
歯周病にとって大きな利点です。
また、金属製の被せ物と違い
傷が付きにくいのです。
まだまだこうしたこと以上のオールセラミックの利点は多いのですが、
少なくとも金属製の被せ物を口腔内に装着する時代ではありません。